ウィスコンシン大学オークレア校での「海外教育体験実習」(2)

今日は,大学のキャンパスには向かわず,Eau Claire Districtの教育委員会とそのディストリクトにある中学校,そして,別のディストリクトにある小中高を訪問しました。

教育委員会では,Eau Claire DistrictのSuperintendentにじっくりと話を聞くことができました。特に,児童生徒の数学と国語の成績を中心としたアカデミックスコアで学校評価が行われるようになってきており,これまでのmultipleな評価,あるいは,各学校独自の特徴をポジティブに評価することが通用しなくなってきているという話がありました。学校毎に評価スコアがレポートとして公表され,ネットでも見ることができます(!)が,見る人の目を引きつけるのはトータルスコアが何点かという部分で,スコアの解釈とは別に一人歩きをしてしまう恐れがあるということでした。こういった動きは,現場の教師や教育委員会の思いと裏腹に,政治的な要請から起こっているということで,いずこも同じ。グローバルに起きている現象だと思わざるを得ません。

その後,Eau Clairの隣のAltoona School Districtの教育委員会をたずねました。この地区は,小中高が併設校を一つだけ持つ小さな区ですが,来年度から4年生,5年生をmiddle schoolの手前のintermediate schoolと位置づけ,カリキュラムも完全にプロジェクトベースに変えたものを実施するということでした。特に,プロジェクト学習において,教師が一人ひとりの生徒のパフォーマンスを意識しながら,ファシリテーターとして,質問し,思考を引き出し,児童生徒の学びの概念化を図ることが強調されていました(完全にVygotskyanやな!)。年齢的にもこの時期が,様々な課題への興味と探究の意欲が高くて,やりやすいのだそうですが,問題としては,評価のあり方や保護者の理解をどのように深めるかということがあるようです。また,同時に,Common Coreに示される目標も達成していこうというのですから,なかなか野心的です。でも,公立学校でこれだけの裁量があって,変革していけるというのは,やっぱりアメリカらしいなあ。この学校のカフェテリアで,給食もいただきました。

午後からは,Eau Claire districtにあるSouth Middle Schoolを訪問。副校長先生やカウンセラーの先生方に話を聞きました。特に,この学校において力を入れているCareer educationの話がおもしろかったです。学校に配属されているカウンセラーが(生徒2.5人に一人いると聞こえた…),子どもたちの強みや取り組みたいことを意識させ,将来の職業や進路の選択につなげていこうとされていました。とにかく,常駐のカウンセラーの存在が大きいようです。また,gifted childrenの教育にも力が入っていて,担当者の先生は,できるだけmultipleな評価方法を用いて,該当する子どもたちをリクルートしたいと話しておられました。実際,評価方法がよくなってきたこともあって,いわゆる飛び級できる生徒の割合が増えてきているとのこと。でも,それって,これまでの指導法が伸ばしきれていなかったという問題があるということではない?とやんわり聞いてみたら,「そうなんだ。教え方を変えれば,一人ひとりの能力に合わせてもっと伸ばしてあげられる子どもたちを増やせるんだ」ということでした。

いずれの学校も至る所の廊下やスペースに展示物が多く,アートに力を入れていることがうかがえました。そこで,アートについて何か特別な取り組みをやっているのですかと聞いてみたところ,この学校では,アートだけでなく,あらゆる領域での学びの結果をvisualizeすることに価値があると考えられていて,そのプロダクトを展示し,お互いに共有するのはごく自然なことなのだということでした。

私にとっては,あっという間の5日間でしたが,行ってみて聞いてみないと分からないことが本当に多いですね(当たり前か)。オークレアに学生さんと一緒に引率してくださった河邊さんを残して,私はひとまず先に帰国します。来週から始まる各学校での学生さんたちのプレゼンテーションを見ることができないのが心残りです。

Good luck and enjoy your life in Eau Claire!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください