ウィスコンシン大学オークレア校での「海外教育体験実習」

3月3日~16日の日程で,ウィスコンシン大学オークレア校およびその周辺の学校にて「海外教育体験実習」を実施中です。この「海外教育体験実習」は,大学院修士課程に開設している「小学校英語活動プログラム」の授業(1単位)として実施しているもので,ウィスコンシン大学オークレア校の協力で開催されます。参加している学生は6名。前半の週は,大学の講義に参加させていただき,実際に現地の学生さんとグループ活動をしたり,図書館ツアー,国際教育センターなどの仕組みについての説明を受けます。後半は,6人の学生が6つのご家庭に滞在し,そこから,地元の小学校や中学校へ出向き,授業観察,子どもたちとの交流,日本の文化,遊び,学校についてのプレゼンテーションを行います。プログラムを作ってくださった大学関係者の皆様,また,ホームステイと訪問先学校をアレンジして下さったキャッシー・ピーターソンさんには,本当に心からお礼を言いたいと思います。

残念ながら,私は,3月8日に帰国するため,わずかの時間しか学生さんと過ごせませんが,この間,いくつかの授業に参加したり,様々な人々との交流を行う中で,学生さんたちが急速に成長しているのを感じます。「やるじゃん!」という感じです。後半もこの調子で楽しんでもらえると良いなあと思います。

この3日間で,Introduction to English Linguistics, Integrating social sciences, Computers in Education, Sociolinguistics, General Methods of Teaching, Japanese, Special Educationの授業にお邪魔しました。当たり前ですが,教室でのコミュケーションのあり方は,日本ともずいぶん異なっていて,普段授業をやっている者として,勉強になります。

特に,今日,参加したGeneral Methods of Teachingがおもしろかったでの,どのような授業だったかその一部を書いてみます。この授業では,教育実習に出かける3年生のコホートに対して,実習中に達成すべきStandardsの説明がなされ,portfolioにコンパイルする方法が示されました。スクリーンに大写しになったstandardsをみながら,授業担当教員(しかも4人のティームティーチング!)が,それぞれの項目の意味(claim)とどうしてそれが重要なのか(explanation),そして,そのstandardsを達成したエビデンス(evidence)の示し方を学生と共有していきます。意識の高まる実習という時期(Gate IIと呼ばれるステージだそうです)を捉え,学生たちと一つ一つ丁寧に項目を押さえていくことではじめて,standardsは,自分たちの学びや体験の深まりを可視化するartifactにまで高まるのだなあと実感しました。こうすれば,standardを設定すること自体が目的化されることはなさそうです。

この授業では,教室に掲示された以下のような問を常に参照点としながら授業を進められましたが,こういった問が,standardの理念と強く結びついています。

  1. What atmosphere facilitates powerful learning?
  2. Who am I as a teacher?
  3. Who are my students?
  4. What’s worth learning?
  5. How do I know if my students have learned?
  6. How should learning activities be organized?
  7. How do I demonstrate collaborative leadership?

また,学生から提出されたPortfolioは,大学認証機構に対して提出される重要な証拠となりますが,教員側が実習や授業の効果を示すエビデンスとしてまとめていく中で,どの分野において学生の力量形成が十分でないかが浮き彫りになり,その部分を補うべく,standardsは改編されていきます。今回の改編では,文化的に多様なバックグランドを持つ子どもへの指導,あるいは,アセスメント全般の項目が付加されたということでした。おもしろいことに,これらの資料をコンパイルする方法は,まだ紙ベースでおこなわれていて,e-portfolioには来年から移行していくとのことでした。e-portfolioといういわばシステムの箱を作って,話題性で先行するのではなく,(自己)評価(あるいは,自己分析)の文化をじっくりと作らないといけませんね。portfolio文化がしっかりと根付いているアメリカならではの授業でした。

明日は,地元の教育委員会,学校の訪問です。

 

ウィスコンシン大学オークレア校での「海外教育体験実習」」への2件のフィードバック

  1. domocchan

    現場最前線のveteran sergeant もretreatが必要になってきました。とほほ…(涙)

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