このサイトは兵庫教育大学学校教育研究科の吉田達弘が運営しているサイトです(大学の研究者総覧のページはこちら)。吉田へ連絡を取りたい方は,ページ下部のフォームからお願いします。(2024/07/03更新)
研究の関心
英語科教育学を専門としており,英語教師を目指す学生,小中高の現職教員の学生,あるいは,留学生のみなさんと一緒に研究と実践をすすめています。現在,(1)英語授業における相互行為(interaction)の質的研究と(2)英語教師の成長に関する研究に取り組んでいます(科研のデータベースへ)。
(1)授業における相互行為への理解を深めるための手がかりとして,ヴィゴツキーの発達研究を源泉とする社会文化的理論(Sociocultural Theory)に理論的基盤を置いています。児童・生徒の概念発達が,他者や文化的道具による媒介(mediation)を通して起こる,という考えをベースに,英語授業においてどのような媒介が学び手の発達を促すのかを研究しています。
英語の授業は,英語が教授や学習の対象(内容)となりますし,同時に,教授や学習を媒介する役割を持ちます。また,ペアワークやグループワーク,ティームティーチングという形式で学習活動が行われるなど,とても複雑な相互行為が起こっています。その中で,学び手(そして,教師)の成長や概念発達はどのように行われているのでしょうか。
英語授業の相互行為を研究する方法としては,実際に授業を記録し,観察・分析する手法を用いています。特に気になる場面については,相互行為の中の瞬間瞬間(moment-by-moment)の学びの変化を捉えています。最近は,社会文化的理論の中で研究がすすんでいるダイナミック・アセスメント(Dynamic Assessment, DA)やpraxis-oriented pedagogyに関心を持っています。
(2)教師の成長,特に,教師自身のナラティブを分析対象にした英語教師の学び・成長の研究にも取り組んでいます。こちらは,私のゼミで学んだ先生方と一緒に研究を続け,インタビューやウェブアプリケーションをつかったナラティブをデータとしながら,これまでいくつか形にしてきました。また,授業者へのフィードバックを行ったり,協働的に授業リフレクションを行うために,Video Enhanced Observationという授業分析アプリなども試しています。教師の成長の研究は,学部生,大学院生,そして,修了生と関わる限り続いていく研究になると思います。
学生の研究指導
【連合大学院・博士課程】博士課程では,社会文化理論とそれに関連する理論を基盤とし,学生が関心のある実践のコンテクストの中で,どのような学びや発達が起こっているかをテーマとした研究の指導を行っています。現在まで,以下のようなテーマの指導を行っています。
- Developing an elementary FLA teacher education program based on Kieran Egan’s imaginative approach
- Studies of Japanese Elementary School Pupils’ Foreign Language Development: Integrating Multimodality into Sociocultural Theory
- Language Socialization in Debate Activities: An Analysis of a Japanese High School EFL Class
- Enhancing interactional competence in Japanese EFL students through pedagogical intervention
【教職大学院】2019年度からは専門職学位課程(教職大学院)言語系教科マネジメントコースで,指導を行っています。学生は,2年間で2回(現職院生は,1回)実施される学校でおこなう実習のなかで,実践研究に取り組みます。実践研究の成果は,研究成果報告書としてまとめられます。「実践研究」のあり方は,様々だと思いますが,ゼミでは,過度の一般化を目指すのではなく,実践の個別性やユニークさを大切にしながら,教師や児童生徒の声が聞こえてくる研究に取り組みましょう,と話しています。
※2019年度まで続いた修士課程での修士論文は,こちらからご覧ください。
【学部】学部生のみなさんは,3年生からゼミに所属します。英語教育に関する研究,特に,指導法,教材,学習に関するテーマに取り組みたい学生さんが集まっています。ただし,テーマは,学生さんが関心があり,かつ,取り組むことができるテーマを自ら選ぶことになります。
担当授業
社会連携
ご依頼があれば,教育委員会と連携した研修会の講師や,近隣の学校での研究授業への指導助言なども,行っています。
所属学会
【国内】全国英語教育学会,LET(外国語教育メディア学会),関西英語教育学会,中国地区英語教育学会,小学校英語教育学会,日本質的心理学会,エスノメソドロジー・会話分析(EMCA)研究会,日本教育心理学会
【国外】TESOL International, American Association for Applied Linguistics (AAAL), ASIA TEFL, World Association for Lesson Study (WALS)
入学や進学を考えている方へ
学部への入学,連合大学院博士課程,教育実践高度化専攻(教職大学院)への進学を考えていらっしゃる方は,本学ウェブサイトで最新情報を入手して下さい。特に,大学院への進学を考えていらっしゃる方は,説明会への参加や個別の事前相談をおすすめします。個別にご質問やご相談があるという場合は,以下のフォームから連絡をいただき,日程調整できれば,研究室への訪問も歓迎いたします!