2019年8月7日と8日に,本学の社会連携チーム主催で「小学校英語の『読むこと・書くこと』の指導〜シンセティック・フォニックスによる指導と計画〜」を実施しました。この研修会は,大学が連携協定を結んでいる市町との連携事業で,関係の教育委員会にお声掛けし,二日間開催したものです。40名ほどの参加がありましたが,ご参加いただいた皆様,ありがとうございました。
講師として,ジョリーフォニックストレーナーの山下桂世子先生,丹波篠山市立西紀南小の荒木美景先生にお越しいただきました。山下先生からは,ジョリーフォニックスの基礎と多感覚を取り入れた指導の有効性をみっちりとご指導いただきました。模擬授業も体験しました。荒木先生からは,勤務校や市内で実践されているフォニックスによる指導の様子や教材,実践の効果をお話しいただき,授業実践の中にどのように組み込んでいるのか,先行事例を示して下さいました。また,私のゼミに所属している小学校教員である西澤明子先生にも,ご自身が取り組んでいるシンセティック・フォニックスの指導の効果の研究について報告していただきました。
5・6年生の外国語科の「読むこと・書くこと」では,例えば,音声で慣れ親しんでいる表現や語彙であれば,「文字のみで提示された場合,その単語の読み方を推測して読む」ことが目指されています。しかし,新学習指導要領や指導用教材の関連資料を読んでも,そのことができるように指導の手続きが示されているかというと,そうではない印象を受けますし,「推測」というのはかなりレベルが高い認知活動なのではないかと思います。
山下先生は,フォニックスが,子どもたちが音と文字を「操作する力」を付けていくための明示的な指導方法であることを何度も強調されました。先生のお話を聞く度に,音声言語の指導や学習と文字言語の学習はつながってはいるが,両者の指導については,ずいぶんと異なることを教師は理解しなければならないと感じます。この点で,「読むこと・書くこと」の指導では,指導者に専門的理解と指導技術が求められますが,私自身,これまで英語初学者(つまり中1)に対する読み書きの指導のあり方について,十分に理解していなかったと,今さらながら反省しつつ,地域の先生方と最も適切なやり方を模索しているところです。山下先生,荒木先生,ありがとうございました。