「海外教育体験実習」(3)

大学での実習を終え,学生さんたちは,ホームステイ先に移動しました。私は,昨日と今日,地元の小学校を二校訪問し,授業の様子を見てきました。学生さんたちは,現地の幼稚園から五年生までの子どもたちに,参加型の授業を実施しました(写真を出せないのが残念!)。
折り紙や紙風船,竹とんぼなど日本の遊びや筆ペンを使ったイラストレーション作りや習字,そして,ソーランなどを体験してもらうものでした。スライドや小道具などよく準備されていたし,子どもたちのとのやりとりはとても豊かなものでした。どの授業もすばらしかったです!言語,文化にかかわらず,子どもの動きや反応を見ながら,柔軟に対応していく力がものをいいますね。

たとえば,院生さんの一人は,4年生の子どもたちに,日本文化と竹についてわかりやすく話したあとに,竹とんぼのセットを子どもたち一人ひとりに渡し,みんなで学校の裏手の芝生の上で実際に飛ばしてみました。”Rub your hands slowly and strongly”(なるほどそうなるか)と指示を出しながら院生さんがデモンストレーションし,子どもたちはそれをまねしながら,竹とんぼを空中に放つのですが,最初はなかなか上手くいきません。すぐに「どういう風にやった?」「こうやったら反対に飛んでいったわ!」とわいわい試行錯誤しながら,取り組んでいました。

院生さんたちが子どもたちと交流する様子を見ていて思ったのは,日本の伝統的な遊びには,他者との交流を促す「しかけ」がふんだんにあるなあということです。例えば,私たちは,大人やちょっと上手な子にやり方をみせてもらいながら,折り紙の折り方を学びましたし,あやとりも一人でもできますが,お友達ととりあったりして,かなりああでもない,こうでもないとやりとりをした覚えがあります(男子もしたよね)。

遊びの中で子どもたちどうしが交流し,段々上手くなっていくplayfulな活動の中では,子どもたちも,院生さんも,ともに成長するなあ。これこそ,ZPD!(すぐ,意味づけしたがるのは悪いくせです)。

私はこの「海外教育体験実習」のことを,「肝試し」と呼んだりしているのですが,院生さんの一人は,授業後,「二年分の経験を数日で体験しているみたい。めちゃくちゃ濃い体験です」と話していました。たしかに,「肝試し」どころか,本当にたいへんなことを,みなさん,やってのけていますよね。また,何人かの子どもたちが別れ際に,院生さんに向かって,”Can you stay longer at our school?”と目をキラキラさせて話しかけたり,折り紙を折りながら,”This is the best day ever!”などとつぶやいていました。こういうのを聞くと,ああ,このプログラムをやって良かったなあと,勝手に思うのでした。やっと時差ぼけが治ってきましたが,明日,学生はホストファミリーといっしょに過ごし,日曜日にはミネアポリスに移動です。

「海外教育体験実習」(3)」への2件のフィードバック

  1. 甲斐 順

    吉田先生

    ご無沙汰しております。大学院でお世話になった甲斐です。アメリカでの引率御苦労様です。

    遊びを通しての学び、いいですね。院生の方もよい経験をされていますね。私が院生の時にもこんなプログラムがあれば良かったとうらやましく思っています。残り少ない日々かと思いますが、どうぞ満喫してきてください。

    貴重な情報をありがとうございました。

    甲斐 順

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  2. admin 投稿作成者

    甲斐さん,いつもコメント,ありがとうございます。
    兵教大の修士課程は,学校現場のニーズにこたえながら,以前と比べるとかなり変わったと思います。日程調整とか,予算の確保など,プログラムのコーディネートは楽ではないのですが,参加する学生さんたちからは,ポジティブなコメントをもらっていて,ここまで続いています。

    返信

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